言葉の使い方一つで、相手が信頼してくれる。それが手相であっても。
この前熱いものを触ってしまい、指が痛く、腫れてきていたので、手を眺めていた。
すると隣で働いていたミャンマー人スタッフが、
「手相を見ることができるのか?」と聞いてきた。
最初は軽い感じで、私の唯一知っている「生命線」「知能線」「運命線」「感情線」の4つの線の説明をしていた。
周りをぐるりと見渡すと6名のミャンマー人スタッフが私の周りを囲い、口々に「私も見てほしい」と語る声が聞こえてきた。
「ここから引き下がるわけにはいかない。こうなったら手相のプロになりきるしかない。」
心の声が聞こえてきた。
そして、私の全感覚を用いて、手相占い師になりきることを決めた。
今回のゴールイメージを6人のミャンマー人が自身の手相を見て、私の話を聞き、納得感を感じてもらうこととし、一人一人のセッションを始めた。
まず聞いたのは「あなたの人生の中で最も大切なことはなんですか?」という質問だ。
手相を見るに際して、最も納得感がなくなることは相手の興味のない話をすることだと考えた。
確実に私の話に興味を持たせるために、その人の人生の中で最も大切なことについて語った。
あるメンバーは「家族との関係が大切だ」と話していた。
また、他のあるメンバーは「自分でビジネスを持つことが大切だ」や「恋人との関係」について話しをしていた。
更に、相手の知覚に全神経を集中させた。
相手の知覚に合わせて「look」「feel」「hear」という動詞の使い分けを行った。
その次に、相手の物事のとらえ方に耳を傾けた。
ある人は、人生を一本の道のようにとらえている。
ある人は、人生の中で見える無限の選択肢にワクワク感を感じている。
ある人は、人生で大きな変化に直面することへの恐怖を見ている。
ある人は、人生で変化しないことを求めている。
そのとらえ方に合わせて、見えてくる手相の特徴から、抽象的な言葉を用いて例を提示した。
たとえば、「深い森のような」「大きな山のような」「遠くまで見通せる海のように」
という言葉を使った。
その言葉に対して、各自が各自で解釈をし、想像を膨らませ、各自で理解をした。
最終的に、かなりの納得感を持っていることが、話を聞く人の顔を見て理解することができた。
そして、一人目のセッションが終わると、私への質問を一人2つのみとするというルールが作られた。6人全員が私の話を聞くための時間を確保するためである。
正直私の手相の知識は断片的だ。日本人であればインターネットで調べたことのあろう、基本的な線しか知らない。
その断片的な知識と、相手が重視していること、そして相手の知覚と考え方に合わせた言葉を抽象的な単語から相手の納得感を高めるという方法を用いた。
MBA取得の勉強をしているミャンマー人同僚が言った。
「あなたの手相占いをフランチャイズ化して、ビジネスを作ろう。」
いやいや、そういうことではないはずだ。
手相は国を越えての共通話題になりうる。
そして、英語を勉強するモチベーションになるのが、単語や使い方を覚えれば覚えるほど、相手に合った言葉を使うことができる。
これは大学受験の際にターゲットで単語を頭に詰め込んでいたころと比べると、比較にならないほどのモチベーションになる。
だれかミャンマーで手相講座を開いてくれないかなー 笑