それは、勝手に知らないところで契約が進んでいることだ。
私は妻名義でミャンマーで家を買った。
売主、土地主と契約書上でサインをし、全く問題ないものだと理解していた。
これがミャンマーでは大いに甘い状況だということを知った。
今家はリフォーム中だ。
そのリフォーム中の家に5人の男女が突如現れた。
そして、
「この家は後数日で私達のものになる」
そう言って彼・彼女たちは家を後にした。
諸々確認をすると、私達の契約書にサインをした土地主が、建物の建築前に、家を担保に借金をしていた。
その担保となっていたのが私達が購入した家であった。
土地主とお金を貸した人が裁判をしていて、裁判所の判決でその担保が認められたとのことであった。
土地主が借りた金を返すことができない場合は、私達の家が取られるということになった。
土地主と直接会話をした。
「借金を返せばこの家はあなた達のものだから、なにも心配する必要はない」
「担保とする契約も私はした覚えがなく、勝手に結ばれたものだ。上告するので安心してくれ」
全く安心などできない。
家の価格は、当時土地主が金を借りたタイミングから3倍になっている。
金を貸した人からすると、金を返してもらうのではなく、家がほしいことは目に見えている。
仮に裁判所が返済は担保となっている家とするとしたら、どうなるのか。
裁判の判例上は私達の権利は極めて危うくなる。
ただしまだまだ打つ手はある。
実際に鍵を持ち、家を実行的に専有しているのは私達だ。
リフォームが終了次第即座に家に住む。
実際に住んでいる人が最も強いのは、日本の不動産で立退料をせしめようとする輩がいるのと同じことである。
そして、実行的に専有をしながら、私達の契約書に署名をした土地主を裁判で訴える。
これは何年かかるのかは分からないが、戦い続ける覚悟だ。
確実に負ける要素がない。
ただし時間がかかる。
ミャンマーで不動産を購入するということは、権利を主張する戦いを行うことを決めたということだ。
悔しくて枕が濡れてしまっているが、家を専有するために戦うしかない。
当初ミャンマーに来る前は裁判をするとは思っていなかったが、
ミャンマーで裁判をすることも、なかなかレアな経験だろう。
人生はなかなか楽しい。
変化と困難ばかりのミャンマーも楽しい。
そう思いながら枕をぬらして眠りにつこう。